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ミステリの祭典

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骸の鍵

作家 麻見和史
出版日2018年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2019/02/05 15:01登録)
(ネタバレなし)
 十二月五日。都内の葛西駅の周辺にある雑居ビルのコインロッカーの中から、若い女性の切断された左腕が見つかる。腕の側には<次の肉体の部位を隠したコインロッカーがどこかにある、それを捜せ>と求める、そのためのヒントと「ロックスミス(錠前師)」という署名を記した挑戦状があった。警視庁の美人刑事・城戸葉月警部補は、所轄の葛西署の男性巡査・沖田智宏とともに事件を追う。だが同じ頃、某所に監禁された若手エンバーマー(死体保全業者)・折口聡子は、謎の人物「ウツロ」から異常な命令を受けていた。

「このミステリがすごい!」で、どんでん返しが印象的な2018年の新刊として紹介されていたので、気になって読んでみる。ちなみに評者は麻見作品は初読みのハズ。
 葉月と聡子、双方のメインヒロインの状況をカットバック式に語りながら、双方の物語がどこでリンクするのかの焦れったさと、ある種の仕掛けがキモの作品。途中で何回か出てくる、葉月が整理した事件の構造を図式で見せる手法も効果を上げている。仕様としては純然たる警察小説だが、ミステリとしてのギミックには名作の海外パズラーを思わせるような発想も動員されていて面白い。いっきに三時間で読み終えられるが、なかなか良く出来ていると思う。(ただし中盤で一箇所、なんでこの人がこの情報を知ってるの? と思えるような箇所があったが、そこはミスディレクションだったのか?)
 葉月の同僚の捜査陣たちがいかにもなキャラづけをされているのは、シリーズ化かテレビドラマ化を狙っているのでしょうね。佳作~秀作。

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