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ミステリの祭典

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文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦

作家 朝霧カフカ
出版日2016年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2019/02/04 22:26登録)
“殺人探偵”と呼ばれる綾辻行人は、殺人事件の真相を見抜くと犯人が必ず事故死するという危険な異能を持つため、異能特務課の新人エージェント・辻村深月から監視を受ける身だ。ある日、2人は奇怪な殺人事件にまつわる謎解きを政府から依頼される。だがそれは、綾辻の永遠の宿敵で社会の敵でもある妖術師・京極夏彦との命懸けの闘いの始まりだった―。異能バトルミステリ、待望の文庫化!書き下ろしのあとがきを収録。
『BOOK』データベースより。

キャラクター小説でありエンターテインメント、且つ本格ミステリですかね。
綾辻行人、京極夏彦、辻村深月という大御所作家の名を借りてはいるものの、それぞれのキャラはご本人とはほぼ無関係です。綾辻は超人的な無謬の名探偵であり、京極は「憑き物落とし」を駆使する得体の知れない悪役の老人、辻村は若くて可愛い新人エージェントです。ですので、京極夏彦の熱狂的なファンにはちょっと辛いかもしれません。が、そのキャラ設定は本人のご希望らしいので仕方ないですね。

概ね面白いのですが、書く人が違っていたら更なる傑作に仕上がったのかもしれないと思うとやや残念ではあります。
まあしかし、この作品の良さは綾辻と京極の直接対決が真っ向勝負だという点にあるのではないでしょうか。その辺り、押さえるべきところはキッチリ押さえているのは見事です。また密室のトリックはなかなか良く考えられていますが、肝心のメイントリックには拍子抜けの感が否めません。
物語はある事件がベースとなり、様々な登場人物がそれぞれの役割をもって複雑な様相を呈し、アクション、異能、謎解き、憑依、超絶的存在などなどの要素を内包して、一見無秩序にさえ見える異形なる終息へとなだれ込みます。
それなりのスピード感や抑揚があり、見せ場の連続と言えなくもありません。全体的にやや取っ散らかった印象は拭えませんが、まずまずの出来だと思います。
ちなみに、坂口安吾も出てきますよ。

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