home

ミステリの祭典

login
寄宿舎の連続殺人

作家 W・エドワード・ブレイン
出版日1993年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2023/08/18 20:53登録)
作者のファースト・ネームは、ちょっと調べてみたのですが、ただWとしか出てきません。1976年から教職に就いていたそうで、知悉した世界をこの第1作では舞台にしています。
タイトルどおり男子寄宿学校で殺人が起こっていくストーリーで、訳者あとがきでは、「登場人物が感じる恐怖が、読者にもじわじわと伝わり」と書かれています。しかし、そのようなサスペンスはクライマックスの緊迫感を除くと、ほとんど感じられませんでした。それよりむしろ、主人公とも言うべき優柔不断な生徒トマスの学校生活、同級生や先生たちとの関係がじっくりと描かれていて、そこが興味深い作品です。特にルーム・メイトのグレッグと、一時期仲違いしていたのが友情を取り戻していくあたり、いい感じです。
もう一つの見どころは、エピローグで生徒たちにより上演されることになる『オセロー』と起こる殺人事件との対比でしょう。

1レコード表示中です 書評