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ミステリの祭典

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ハムレット
四大悲劇

作家 ウィリアム・シェイクスピア
出版日1951年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 弾十六
(2019/01/26 20:13登録)
1603年初版。『ハムレットは太っていた』でおなじみ河合先生の新訳(角川2003、電子本)で読みました。萬斎版2003の台本が元になっており、演劇家の協力で素晴らしい日本語作品に仕上がっています。なお日本語訳で初めてフォリオ版1623を底本にしているとのこと。注で丹念にQ(クォート)とF(フォリオ)の違いを拾っているのですが、Fは冗長な部分を削っていてスッキリした印象。付録で今までのTo be or not to beの翻訳一覧が付いています。
亡き王もハムレットという名前なのですね。(なので原題はTHE TRAGEDY OF HAMLET, PRINCE OF DENMARK、王子のことだよ、と断っています) 最近流行のNTRが裏テーマ? 純度の高いメロドラマが繰り広げられます。でも、やっぱりオフィーリアが薄倖過ぎです。劇中歌のメロディは伝わっていないのかな?(追記2019-1-27: Drury Lane劇場の慣例では、最初の曲How should I your true love knowがWalsinghamのメロディで、次の曲Tomorrow is Saint Valentine’s dayがPlayford “The Dancing Master”のA Soldier’s Lifeのメロディらしいです)
以下トリビア。ページ数は電子本なので全体との率で表示。
p447/3562 できるかぎり服に金をかけろ/風変わりなものはいかん。上等で、上品なものにしろ。/着ている物で、人間はわかるものだ。(...) 金の貸し借り不和の基 (...) 何より肝心なのは 、己に噓をつくなということだ 。(Costly thy habit as thy purse can buy,/But not express’d in fancy; rich, not gaudy/For the apparel oft proclaims the man <...> Neither a borrower nor a lender be <...> This above all: to thine own self be true): 父が息子に与える世渡りのコツ。今も変わらぬ真実ですね。
p863/3562 年金三千クラウン: 流石に消費者物価指数基準は1750までしか遡れないのでWEB検索するとOUPblog ‘Money, money, money’という記事を見つけました。According to the National Archives (2005) site, £1 in 1590 is equivalent to £125.29 today; by 1600, this had fallen to £100.64; and by 1610 to £97.88. (残念ながら元サイトの記事を見つけられず) 3000クラウン=750ポンドなので、1600/2005のレートで3000クラウンは1061万円、消費者物価指数基準2005/2019で1.48倍なので現在価値1570万円です。ただしシェイクスピアが英国のクラウン貨のつもりでなく、デンマークのクラウン貨を意味して使っているなら話は全く違います。だいたいハムレットの作中年代すらわかりませんので… (ハムレット=アムレスの名はデンマークの伝承で2世紀以前まで遡れるらしい)
p1070/3562 百ダカット(a hundred ducats): 当時(1600)ducat金貨は金3.5g含有。エリザベス朝のSovereign金貨(=1ポンド)は重さ240グレイン(15.55g)で23カラット(金14.9g)なので1ダカットは0.235ポンド。上述の計算で100ダカットは現在価値50万円。(なお1973年以降の金相場は物価基準の参考にはなりません)
p1906/3562 昔話の猿のように 、/自分も籠から飛び出してみようと 、/転がり落ちて 、首の骨を折るがいい(like the famous ape,/To try conclusions, in the basket creep/And break your own neck down.): 注で「この昔話は今に伝わらない 」としています。

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