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ミステリの祭典

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アドレナリンの匂う女

作家 ジェームス・ケイン
出版日1967年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2019/01/14 10:26登録)
Tider-tigerさんの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』評の中で、チャンドラーはケインが汚いものを「汚く書く」から嫌いだと言っていることが紹介されていて、なるほどと思ったのですが、個人的にはケインは、そのデビュー作や『殺人保険』を読んだ限りでは、まさにチャンドラーの言葉どおり汚く書いているところが気に入っていたのです。
そういう観点から見ると、本作は既読2作に比べると、描き方の汚さが薄れてしまっていて、確かに主人公は「汚い」人間ではないことは確かで、描き方もそれに合わせたのだと言えないことはないでしょうが、その分迫力がなく通俗的になってしまっているように感じました。
ミステリ的には、これは表面に現れたもの以上の企みが隠されているかもしれないと勘ぐったりもしていたのですが、これは思い違いでした。ペリー・メイスンを引き合いに出したりしている後半の裁判シーンは、楽しめましたが。

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