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ミステリの祭典

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駒さばき
ヨクナパウワ・サーガ、ギャビン・スティヴンス/別邦題『騎士の陥穽』

作家 ウィリアム・フォークナー
出版日1951年01月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2019/01/07 21:20登録)
(ネタバレなしです) ウィリアム・フォークナー(1897-1962)は20世紀米国を代表する作家の1人でノーベル賞を獲得しています。ミステリーにも手を染めていて、1949年発表の本書は群検事のギャヴィン・スティーヴンスを探偵役にした短編集で、6作を収めています。純文学者のミステリーというと福永武彦の「加田伶太郎全集」(1957年)という立派な短編集もありますが、本書は残念ながらミステリーとしては微妙な出来に感じました。「紫煙」が1番ミステリーらしいプロットですが推理は弱く、はったりで解決しているのが物足りません。「水をつかむ手」は手掛かりが印象的ですが一般的読者には馴染みにくそうです。最も評価の高い「調合の誤り」は悪くはありませんがせっかくの証拠の提示のタイミングが遅過ぎで、読者が推理する間もない唐突な解決になってしまうのが惜しいです。中編「駒さばき」はスティーヴンスの家族ドラマの回想が長々と続いてミステリーとしてはぐだぐだになってしまっています。長文が多用されて読みにくく、私にはノーベル賞作家は敷居が高過ぎたことが証明される結果になりました。

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