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ミステリの祭典

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当確師

作家 真山仁
出版日2015年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2018/12/31 13:04登録)
「当確師」とは実在するのか?
巻末解説の池上彰氏は「実在する」と断言されています。
というわけで、選挙があるたびに毎回疑問に思っていたことを少しでも解決すべく、本作を手に取ったわけだが・・・
2015年の発表。

~莫大な報酬と引き換えに当選確率99パーセントを約束する敏腕選挙コンサルタント・聖達磨。「当確師」とも呼ばれる彼への今回の依頼は、大災害に備えた首都機能補完都市に指定された高天(たかあま)市の市長選で、圧倒的支持率を誇る現職を倒すこと。裏切り、買収、盗聴、恫喝なんでもあり。著者が政治の世界を描ききった選挙版「ハゲタカ」~

“選挙版「ハゲタカ」”というのは少々大げさかな。
綿密な取材と緻密なディテールがウリだった「ハゲタカ」シリーズと比べると、枚数制限でもあったのか、本作の内容は薄っぺらい。
多少の障壁や紆余曲折はあるものの、最終的には「弱き者が強き者に打ち勝つ」という手垢のつきまくったラストが待ち受ける。
正直、この「障壁」が低すぎる(or薄すぎる)のだ。

ひとつの街を日本全体のプロトタイプとして、実験的に人心掌握して、ひとつの方向へ人為的に動かしていく・・・
こういう小説って今までも読んだ気がするけど、それって最終的な狙いとか裏側の構図というのがあるからこそ生きるプロットであって、本作ではそこら辺りが何もなかったというのが「薄っぺらさ」の原因なのかもしれない。
せっかく市を牛耳る“影の存在”(=小早川家)を出しているんだから、もう少し盛り上げ方を考えてもらいたかったな。

まぁ、一般ピープルの選挙行動というのは、かくも浮き草的というか、マスコミになびきすぎるのか?
「誰がなっても一緒」というのは確かにそうかもしれないけど、選挙権は権利であるとともに義務だからね・・・
などと、昨今の政治への無関心を嘆いたりする・・・
で、本作の評価は・・・うーん。この程度かな。

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