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ミステリの祭典

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ファントム・ピークス

作家 北林一光
出版日2007年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2022/04/04 23:28登録)
映画『CURE』等の黒沢清監督による文庫版巻末解説を読むと、作者は元映画宣伝会社に勤めていたそうですが、その中でスピルバーグの良さも語られていて、同監督作品名は一切出てきませんが、本作を読んでみるとプロローグから明らかに『ジョーズ』の山中バージョンだとわかります。『ジョーズ』と違うのは、半ばまで長野県の山に出没するそいつの正体がわからないことで、実在の動物かどうかさえ不明です。
まあ、正体そのものには意外性はないですし、伏線はあからさまですが、どこからそいつが現れたのかは工夫されています。実際のところ、後半はエスカレートしていくパニック・シーンと、そいつの出自捜査とが並行して描かれていくことになります。さらに最後の「対決」部分もうまく考えられています。そのような意味でミステリ的興味をも兼ね備えた…ホラーと言うかサスペンスと言うか、そんな作品です。

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