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ミステリの祭典

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ふたえ

作家 白河三兎
出版日2015年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2018/12/13 22:19登録)
超問題児の転校生・手代木麗華がぼくらの世界を変えてしまった。ドン臭い「ノロ子」、とにかく地味な「ジミー」、将棋命の「劣化版」、影の薄い「美白」、不気味な「タロットオタク」―友達のいない五人と麗華で結成された『ぼっち班』の修学旅行は一生忘れられない出来事の連続で…。物語が生まれ変わる驚きの結末!二度読み必至、どんでん返し青春ミステリーの傑作誕生。
『BOOK』データベースより。

月曜日に書店に行きました。なぜか火曜日出版のはずの『このミス』が並んでいましたので早速手に取ってまずは第一義の高山一実のインタビューから。ざっと目を通し、いよいよ国内外のベスト20を確認、残念ながらあまり興味が湧かず、そっと戻して少しだけ後ろ髪を引かれる想いで書店を後にしました。

どうでもいい話をしてしまいました。
さて『ふたえ』ですが、一章ごとに語り手である主人公が入れ替わる、修学旅行中のちょっとした冒険譚です。それぞれがぼっちであり、男女とも過度に美化されることもなく、等身大の高校生を描いている時点で既に心惹かれるものがありました。
読み心地は最高です。ですがミステリの要素はごく薄く、確かに日常の謎的な案件を含んだ物語もありますが、それよりも恋愛小説の色のほうがより濃く描かれており、どちらかと言うとミステリと言うよりも青春小説なのかなと・・・

と思っていましたが、最終章で見事にやられました。これは完全なミステリです。ええ、ええ、そりゃもう何度も前に戻って読み返しましたよ。その度に実によく考えられているし、上手く読者に隠蔽された事実を悟らせないように尽力されているなと思いました。私が読んだ作者の小説の中では断トツの出来ですね。
各章ごとに読みどころがあり、特に第一章では笑いのツボが至る所に地雷のように埋め込まれていますし、全体として悲しくも爽やかな逸品となっています。

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