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ミステリの祭典

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動きの悪魔

作家 ステファン・グラビンスキ
出版日2015年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 小原庄助
(2018/12/14 07:53登録)
「ポーランドのポー」の異名をとる19世紀末生まれの作家なのだけれど、一読、その才能のユニークさに驚嘆必至だ。
夢遊病のように目的のない鉄道の旅に出てしまう性癖の持ち主が、車内で出会った鉄道員に奇妙な自説を開陳するという、一見、狂気小説かと思わせて、超自然ホラーのようなオチでゾッとさせる表題作。汽車を単なる移動手段としか考えていない乗客を侮蔑している車掌を主人公にして、表題作の姉妹編のような構造を持つ「汚れ男」。神出鬼没の幽霊列車に翻弄される人々の姿を迫真の筆致で描いた「放浪列車(鉄道の伝説)」。
恐怖小説が中心だけれど、幻想やミステリ、SFのタッチを加味した作品もあって飽きがこない、どころかアイデアや想像力の独自性にワクワクしっぱなし。マスターピースといっていい14編なのである。

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