悪の猿 |
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作家 | J・D・バーカー |
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出版日 | 2018年08月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 猫サーカス | |
(2018/11/29 18:40登録) 見ざる、聞かざる、言わざる。日光東照宮の彫刻の題材にもなっている「三猿」から着想した、凶悪な連続殺人者を描いてみせるサイコ・スリラーにして警察小説。車にはねられて死んだ男は、切り取られた女性の耳を持っていた。何年にもわたり米シカゴで犯行を重ねる殺人鬼、通称「四猿」。女性を誘拐し、三猿になぞらえて耳、目玉、舌を家族に送りつけてから犠牲者を殺す。その四猿が死んだのか?しかも、死んだ男が持っていた日記には、四猿自身の少年時代の出来事がつづられていた。だが、耳を切り取られた被害者はまだどこかに監禁されている。刑事たちは、その場所を必死に追い求める。刑事たちの捜査、監禁された少女の視点、そして奇妙な日記。三つの記述が並行して、物語は進む。刑事たちが連続殺人を捜査する、というストーリーに目新しさは乏しいものの、展開の巧みさで一気に読ませる。何より鮮烈なのは日記のパート。一見、絵に描いたような模範的な家族。そのひずみが徐々に浮かび上がる不穏な過程が、戦慄させる。 |