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ミステリの祭典

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不条理な殺人

作家 パット・マガー
出版日2018年11月
平均点4.00点
書評数2人

No.2 4点 Akeru
(2020/09/21 11:14登録)
当時4歳だった親友の息子の目の前で事故が起きた。その息子が成長して劇作家になって、デビュー作が上演される。名うての大スターとして知られる主人公は無理を言ってそのデビュー作に参加させてもらい…、という本作。
本作のプロット(起承転結)は非常に弱い。もし並の作家がこのプロットで作品を仕上げたとしたら、おそらく半分くらいのページ数になってるのでは。
しかし、本作は「流石パット・マガー」と言いたくなる出来栄えで、弱いプロットにも関わらず引き延ばし感がない。登場人物も主要なのは4-5人ほどで、「あーこれ、どんなキャラだっけ?」的なところもなく、サラっと読める。
ただ、プロットが重視される「推理小説」としては出来はやはり悪い。ラストの一文が純文学めいた終わり方だが、純文学として見ても駄作だ。

No.1 4点 nukkam
(2018/11/22 21:52登録)
(ネタバレなしです) 1960年代以降のマガーは長編8作(と短編集1作)を発表していますが、その半分に当たる4作は非ミステリーらしいです。その時期の作品である1967年発表の本書はミステリーではありますが謎解きが弱く感じました。主人公である俳優が妻と前の夫(17年前に自殺したとされてます)との間に生まれた息子が書いた劇のタイトルに動揺します。17年前の事件を思い起こさせるのが動揺の理由のようですが当時わずか4才だった息子に一体何をびくびくしているのか、息子の真意を探るために劇に出演しようと画策する主人公が理解できません。主人公、息子、そして妻までもが絡んできて互いに感情の爆発まで見せながらどこまでが本音なのかわからない家族ドラマが繰り広げられます。それはそれなりに読ませるのですが、時に謎解きが置いてきぼりになっている感が否めません。最後はミステリーとして着地はしているのですが、推理らしい推理もないまま事件の真相がわかりました的な決着は個人的には好みではなかったです。

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