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ミステリの祭典

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悪玉伝

作家 朝井まかて
出版日2018年07月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/11/12 13:55登録)
大阪の豪商辰巳屋の相続争いを寺社奉行時代の大岡越前が裁いたといわれる「辰巳屋一件」。
このような民間の騒動が、なぜ幕閣を揺るがす大疑獄事件へと発展したのか。作者は辰巳屋乗っ取りの犯人とされた人物を主人公にして、権力の欺瞞を鋭く突いた、権力に抗する男の物語である。
風流と学問が好きで、商売には興味が無い木津屋吉兵衛。だが辰巳屋の主人である兄が死ぬと、成り行きで店を引き受けることになる。ところが辰巳屋の裏には、徳川8代将軍吉宗までつながる、思惑がうごめいていた。
それに巻き込まれ、いわれなき罪を押しつけられようとした吉兵衛の見せる反骨心が痛快だ。庶民の意地を貫き通した主人公に、胸が熱くなるのである。

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