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ミステリの祭典

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ヤミの乱破

作家 細野不二彦
出版日2005年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/11/12 13:55登録)
漫画でもミステリ要素が強ければOKみたいなので・・・。

私たちが普段「確かなもの」だとして見聞きする情報の中で、本当に100%確かなものは、どのくらい存在するのだろう。情報が捏造、隠蔽されていた場合、どう真実を見極めればいいのか。この作品は「隠された真実」を題材にしている。
戦後の連合国軍総司令部(GHQ)占領下の日本を舞台にしたスパイものである。表向きはカストリ雑誌の編集者だが、吉田茂のスパイという裏の顔を持つ猿田はある日偶然、大陸から引き揚げてきた一人の男と再会を果たす。彼の名は桐三五。スパイ養成機関、陸軍中野学校の後輩だった。
敗戦で茫然自失としていた三五は猿田の家に居候生活を始めるが、ある出来事を機にスパイ活動を再開し、やがて国家間の壮大な”見えざる戦争”や機密文書の争奪戦に巻き込まれていく。
実在した政治家の名が飛び交い闇市、売春宿といった戦後日本の暗部が生々しく描かれるのがこの作品の魅力だ。
坂口安吾の「堕落論」の一節も作中で効果的に使われ、戦後の混乱期を生き抜く力強さと、生きていく上での悲しみの両面が伝わってくる。

※漫画ですのでご注意を

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