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ミステリの祭典

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矜持
競馬シリーズ(フェリックス・フランシスとの共著)

作家 ディック・フランシス
出版日2011年01月
平均点3.00点
書評数1人

No.1 3点
(2019/03/17 11:12登録)
 アフガンでタリバンの仕掛けた路肩爆弾に右膝下を吹き飛ばされ、実質退役扱いとなった英国陸軍大尉トマス・フォーサイス。ほかに行くあてもなく、十五年前に出ていったきりのランボーンの母のもとに向かう。母ジョセフィン・カウリは"英国競馬界のファーストレディ"と呼ばれる名調教師だがワーカホリックで再婚を繰り返しており、たまの滞在の際にも何度も諍いあう仲だった。
 厩舎に辿り着いたトマスだが、厩務長イアン・ノーランドから意外な話を聞かされる。このところカウリ厩舎の馬たちが、レース勝利まぎわに失速し負け続けているというのだ。
 機嫌の悪い義父夫婦の様子を窺ううちにトマスは、彼らがヘッジファンドに投資し百万USドルを失ったこと、会計士に勧められた脱税を種に脅迫されていること、レースに敗北するよう強要されていることを知る。付加価値税も丸四年あまり未納で、刑務所行き寸前の有様だった。
 義父と母を救うため、トマスはまず交通事故死した問題の会計士、ロデリック・ウォードの調査を開始するが・・・

 そして
 最良の友であり父であった
 ディック・フランシス(一九二〇~二〇一〇)の思い出に

 冒頭の献辞です。2010年、フランシス死後に発表された第44作目の本書により、ディック名義の競馬シリーズは幕を閉じました。内容についてはあえて語りません。問題点もここでは挙げません。とりあえず読ませはしますが。
 公私ともいっぱいいっぱいで、息子さんロクに推敲するヒマが無かったんじゃないかなと思います。第17作「試走」がずっとワースト作品だと思ってましたが、ブービーに格上げされたかもしれません。まあ仕方ないですね。
 長い間楽しませていただきありがとうございました。

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