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ミステリの祭典

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ガラスの蛇
EQ69号ー71号連載

作家 ピエール・ヴェリー
出版日不明
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2018/10/11 21:36登録)
(ネタバレなしです) 1934年発表の本格派推理小説で、日本では雑誌「EQ」の69号(1989年5月号)から71号(1989年9月号」の3回に渡って連載されました。全身赤ずくめの女性の運転する車に乗せられて水辺の家へ案内された男の奇妙な体験談、泥棒対策として雇われた大男と小男のコンビが寝込んでしまった隙に銅製の悪魔像が盗まれる事件、そして密室状態の部屋の金庫から貴重な本と大金が盗まれる事件と脈絡のなさそうな事件が相次ぎますがどの事件現場にもガラス製の蛇が出現するという風変わりなプロットです。複数の探偵役が謎解きを競う展開は前例もありますが、本書では推理の披露が新聞への投稿合戦の様相を呈するのが珍しいです。また重要な役どころなのに大男と小男のコンビが名無しのままというのもユニークです(最後の最後でようやく名前が紹介されますが)。本格派推理小説としては異色の部分も多く、中でも犯人逮捕後の18章での悪夢を見ているかのような描写は印象に残ります。

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