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ミステリの祭典

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退魔士

作家 矢野隆
出版日2014年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/10/08 09:34登録)
人間を苦しめる魔性のものを封じる退魔士が活躍する痛快アクション小説。
退魔士の葛城は、組織をたばねる法蓮から、父とも慕うすご腕の不動が寺宝を盗んで失踪したと聞かされ、探索のため奈良へ向かう。
動き出して襲いかかる奈良の大仏に、葛城がすさまじい身体能力で対抗するなど、奇想天外な活劇が連続するので息つくひまもないはずだ。ハリウッド大作へのオマージュも多いので、映画ファンなら元ネタを探しながら読むのも一興である。
不動は弟子の葛城に、同族を平然と殺す人間に魔性のものから守る価値があるのかと問い、仲間にしようとする。だが不動がつくろうとする理想の社会に、強者の傲慢さを感じた葛城は申し出を拒否する。強者が正義という戦国のルールが、現代の風潮と重なるだけに葛城が弱者のために戦う姿が、より痛快に思えるのではないだろうか。

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