home

ミステリの祭典

login
カード・ウォッチャー

作家 石持浅海
出版日2013年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2025/04/06 11:08登録)
タイトルのカードとは、勤退時刻をつけるタイムカードのことです。製造業本社工場から離れた場所にある研究所で、研究員が椅子が壊れて転んで手首を痛めたという軽い事故が、労災に該当するようだということで、労働基準監督官が臨検にやって来ることになります。この事故自体は、労災になるとは思わなかっただけなので、大した問題ではないのですが、研究所では毎日長時間のサービス残業が続いていたということで…
それだけだと、どこがミステリなんだという感じですが、臨検直前にある研究員の死体が発見される展開で、最後はその死の原因が論理的に解明されて幕を閉じる、パズラー系の作品です。序章と終章を除くと、ほとんどが若い総務職員小野勝典の視点から描かれます。「特別司法警察職員」であると説明される監督官の対応にあたふたする研究所職員たちの姿を軽いタッチで描きながら、謎解き要素もきっちりできた楽しい作品です。

1レコード表示中です 書評