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ミステリの祭典

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果てしなき渇き

作家 深町秋生
出版日2007年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2018/09/29 12:57登録)
 妻の不倫相手への暴行が問題となり、刑事の職を追われた藤島は、今は警備会社に勤める身。ある晩、警報が鳴ったコンビニに行くと、そこには無残に殺された店員と客の死体が横たわる惨劇の跡だった。第一発見者としてもと同僚の聴取を受けるも、自分を追いやった警察に不遜な態度でしか応じない藤島。そんな折に、別れた妻・桐子から電話が入る。「娘の加奈子が帰って来ない」。
 藤島は警察の手に委ねず、自らの手で加奈子を見つけようと心に決める。加奈子とつながりのある人間にあたり、その行方を追おうとするが、その過程で、件のコンビニ惨殺事件も背後に見えてくるようになり、加奈子が藤島の全く知らない「別の顔」をもっていることを知らされるようになる…

 第3回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
 主人公の藤島がとにかく暴力的、非倫理的な人間なので、ハードボイルドの体のようで、後半はノワールに近い。スピード感のある展開に読ませる力はあるが、あまりに暴力的な描写にひいてしまう人もいるかもしれない。
 最後には意外な真相も提示されていて、ミステリらしさもあるが、主人公がとにかく「哀れな存在」で、救われない男のままで終わる。

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