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ミステリの祭典

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ジャックが建てた家
ホープ弁護士

作家 エド・マクベイン
出版日1990年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2018/09/03 08:19登録)
 インディアナ州から出てきた農夫ラルフ・パリッシュは誕生パーティーの席上、弟と激しく言い争い自室に引き上げた。ジョナサンがホモであるとは承知していたが、目の前でゲイたちが繰り広げる光景には耐えられなかったのだ。そして翌朝階下の悲鳴に駆け付けた彼は、胸に包丁を突き立てられ、血潮にまみれてもがき苦しむジョナサンを発見した・・・。
 ホープ弁護士シリーズ第8作。弟殺しで逮捕された男の無罪を証明しようとするホープですが、今回は調査と平行して共同経営者であるフランク・サマーヴィルの妻レオナの行動が描かれます。「妻が浮気しているのではないか」という疑惑に憔悴するフランク(第4作目「ジャックと豆の木」では、恋人にフラれたマシューに説教するなど余裕綽々でしたが)。
 ホープは相棒の私立探偵ウォレンに刺殺事件の調査に加えレオナの尾行も頼みますが、その過程で「これは偽装で、レオナの浮気相手は実はホープではないのか?」と疑われたりします(すぐ疑いは晴れますが)。レオナの件が思わせぶりなので、途中までこっちがメインかと思ってたんですけどね。別口のホモカップルがずっと犯人っぽく描写されてたんで捻りも何もないかと。終わってみれば結構凝った話でした。
 各章冒頭にマザーグースの「ジャックが建てた家」の歌詞が掲げられ、それがそのまま物語の登場人物に当てはめられています。まあ歌に合わせて出しただけのキャラなんかもいますが。"つみあげうた"と言って、後から文章をどんどん継ぎ足していくやつです。なので途中まで「風が吹けば桶屋が儲かる」式の展開なのかなと考えてたんですが、重要なのは歌の題名の方でした。
 でもこれ難しいと思いますね。漠然とした仄めかしは作品名と被害者のクズさ加減くらい。具体的な手掛かりはほぼ一つだけでそれも見過ごし易いですから。
 しかしマクベインがホモを大々的に扱ったのはこれが初めてじゃないですかね。87分署シリーズにもあんま出て来ないし。どうもホモ嫌いらしく、この物語でもクズホモしか登場しませんが。

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