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ミステリの祭典

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帰還
競馬シリーズ

作家 ディック・フランシス
出版日1992年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2018/08/28 14:30登録)
 数年間の東京赴任を終え、ロンドン本省への栄転が決定した外交官ピーター・ダーウィン。母国への帰途立ち寄ったマイアミで同期の領事に歓待されるも、強盗事件に巻き込まれたディナー歌手夫妻をチェルトナムまで送り届ける破目になってしまう。彼らは娘の結婚式に立ち会う為、イギリスに旅立つ途中だったのだ。そしてチェルトナム競馬場は、ピーターが幼年期を母と過ごした場所でもあった。
 ピーターと老夫妻は娘ベリンダに婚約者ケン・マクルアを紹介されるが、彼の顔色は冴えなかった。獣医である彼の手術した馬が、次々に原因不明の死を遂げていたのだ。さらにその夜ケンたちが勤務する動物病院が放火され、焼け跡から黒焦げの死体が発見される。
 ケンの窮地を救おうと懸命に調査を続けるピーター。だがやがて彼は、徐々に浮かび上がる自らの記憶の中に、重大な手掛かりが隠されている事に気付くのだった。
 競馬シリーズ30作目。主人公ダーウィンが少年時代に接した噂、人物の印象などが事件を解くカギになります。いわゆる「回想の殺人」の変奏版。土壇場になるまで犯人は解りません。第26作「黄金」同様フーダニット系で、なおかつ医学サスペンスの趣きもあり、馬を死に至らしめる方法が列挙されてて結構エグイです。その中でも主要なネタはなんと日本関連。ピーターの日本滞在がここで生きてきます。
 ディック・フランシスがジャパンカップ観戦の為来日したのが1988年。「黄金」日本語版刊行と重なります。ここに来て矯めてたネタを使ったという事ですね。その次の「横断」はややパッとしませんでしたが、「直線」「標的」そして本作と、第32作「決着」辺りまでなかなかの作品が続きます。かなり面白いけど、主人公が文系タイプなのでやや印象が薄いかな。6.5点。

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