(2018/08/19 19:59登録)
(ネタバレなしです) 1941年発表のジョニー・フレッチャー&サム・クラッグシリーズ第3作のユーモアハードボイルドです。過去2作では二人が死体発見者で容疑者となるパターンでしたが今回はそうではありません。サムの伯父が死亡してサムが遺産相続人になります。しかしこれで貧乏生活とおさらばと簡単にはいかないのは読者の期待通り(笑)。遺産入手どころか難題が次々に勃発して収拾がつきません。実はサムの伯父は殺されていたのですが遺産問題に振り回されて前半は犯人探しどころではありません。まあこれはこれで退屈しませんが。後半になると新たな殺人が起きてようやく謎解きらしくなりユーモアとサスペンスもエスカレート、遺産問題がどう決着するのかという興味と合わせてページをめくる手が止まりません。私はこのシリーズは最後まで犯人の正体を隠しているものの推理が弱くてはったりと運で解決していると思い込んでいましたが、本書に関してはジョニーの推理が結構しっかりしていて本格派推理小説好きの私はシリーズ最高傑作ではないかと感じました(といってもそれほど多くのシリーズ作品を読んではいないのですけど)。
|