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ミステリの祭典

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金髪女
ホープ弁護士

作家 エド・マクベイン
出版日1980年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 ことは
(2026/08/16 22:39登録)
ホープ弁護士シリーズの第1作を再読してみた。
本作では、事件の当事者と語り手である主人公ホープの状況が、まるでシンクロするようにすすみ、読者もそれぞれの状況を親近感をもって読むことになる。謎と解決はたいしたことはないのだが、ふたつの家族の問題が身近に感じられ、なかなかハラハラされられる。
やはり私は、このシリーズは初期のほうが好きだ。
本シリーズは、童話・童謡をモチーフとしているとのことで、ネット検索してみた(初読時はネット検索などできない時代だった)。原題「Goldilocks」で検索してみると、日本語Wikiで「3びきのくま」の題になっている「ゴルディロックスと3匹のくま(Goldilocks and the Three Bears)」がみつかり、これが元とした童話のようだ。森の中に住む3匹のクマの家に、金髪の少女が勝手に入り込むという話で、Goldilocksとは「金髪」という意味で、gold「金」+lock「髪」からできた名前とのこと。
「勝手に入ってきた金髪女の話」というのが本作で使われたイメージで、金髪女との浮気を表していると思われる。これをふまえて読んでみると、終盤で語られる動機の部分など、より印象的に感じられるだろう。
ほかに特記したいシーンとしては、主人公が飼っている猫が死ぬ場面がある。事件と絡まないエピソードなのだが、丁寧に描かれている。きっとこれは家族の崩壊の象徴なんだなと感じた。
あとは、1978年の作なので、家族のあり方は今とけっこう違っている。アメリカでも、まだまだ「女性は家庭」の意識が根強かった時代だったんだな。

No.1 5点
(2018/07/26 15:01登録)
 弁護士マシュー・ホープは深夜、妻との諍いの最中に顧客パーチェイス医師からの電話を受けた。帰宅した彼は妻と二人の娘が惨殺されているのを発見したのだ。
アリバイを訴えるパーチェイスだが、やがてホープはその時刻彼が愛人宅にいた事を突き止める。だがその矢先、先妻の息子マイケルが犯行を自白した――。
 マクベインのもう一つの長期シリーズ、ホープ弁護士物第1作。東海岸の犯罪都市アイソラから、フロリダ沿岸の温暖なリゾート地カルーサに舞台を移して心機一転。87分署物に比べ、風景や生活描写も優雅でカラフルです。
 とはいってもあんまりパッとしませんね。主人公は弁護士らしく証言のちょっとした齟齬から真実に迫るのですが、トラブルに追われてエンジンの掛かりも遅く、しかもそれとは関係無しにバタバタっという感じで解決します(ホープが関わる意味はある程度アリ)。事件全体を主人公の私生活と二重写しにする事で一応の説得力は持たせていますが、ちょっとフェアではないかな。
 ホープという人間を描き込むことに主眼が置かれた、顔見せ興行的な作品ですかね。実際、車に撥ねられた飼い猫セバスチャンの死を見取るシーンが一番印象に残ってたりします。
 このシリーズはグリム童話をモチーフにしていますが、"金髪女(Goldiocks)"に該当するものは調べても見当たりません。作中の意味は「不倫相手」全般を指すようですが。
 解説で「マクベインが今更こんなものを書くなんて」とありますが、次作以降巻き返すようですから、種蒔き的な作品なのでしょう。今後に期待したいと思います。

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