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ミステリの祭典

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毒薬
87分署

作家 エド・マクベイン
出版日1988年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2018/07/25 09:47登録)
 吐瀉物と排泄物に塗れて横たわる死体。死因はニコチンによる中毒死だった。現場検証に立ち会うキャレラとウィリスだったが、死者の録音電話に出た女、マリリン・ホリスにウィリスは惹かれるものを感じる。
 同時に何人もの男とつき合い、話を聞くたびにくるくると出自が違い、どこから金を得ているのかも不明なまま優雅な一人暮らしを楽しんでいる女性。マリリンは男を弄ぶ毒婦なのか?
そして、彼女の交際相手が二人、三人と続けざまに殺されてゆく…。
 シリーズ第39作。古株ハル・ウィリスにライトが当たります。小男ですが柔道の達人である二級刑事。第2作「通り魔」で既に活躍を見せていますが、やや地味めなせいかこれまで主役は張れませんでした。でも今回は本気。
「彼女は犯人じゃない!」という態度でバーンズ警部にも突っかかり、キャレラは頭を振っています。
 まあでもね、最初マリリンは明らかに懐柔目的でしたね。んでだんだん本気になってしまったと。惚れた気持ちに嘘は無いからいいんですけど。
 ウィリスとお互いに気持ちが通じて、ずっと隠していた秘密の告白があって、それからまるまる1P使ってあの蒸留器の広告が出てくる。インパクトあります。前々作「稲妻」のヒキもそうですがこういう所、87分署シリーズ随一の大作「凍った街」以後のマクベインは吹っ切れた感があります。ノッてるというか快調に飛ばしてますね。
 本作のミステリ部分もなかなか良いです。ドラマ部分に振ってるのか、得意のモジュラーは映画館でやかましい前席の女性を射殺した男の話しか出てきませんが。色々惜しいけど6.5点にはならないかな。6点作品。

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