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ミステリの祭典

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怨讐星域

作家 梶尾真治
出版日2015年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/07/15 10:40登録)
地球が居住不能となる危機にさらされたとき、人類がどう行動するのかというのは、SFが繰り返し描いてきたテーマだ。この作品は地球を脱出し、移民する人々の壮大なドラマである。
危機をいち早く知った米国大統領は、数世代かけて人類が生存可能な別の星に移住する、極秘プロジェクトを計画。選ばれた少数の人々を乗せた宇宙船「ノアズ・アーク」号が地球をあとにする。一方、置き去りにされた人々は、絶望と戦いながら、宇宙空間を越える物質転送装置を開発し、ノアズ・アークが目指す惑星に先に到着することに成功。その星をエデンと名付け、開拓を続けながら、「裏切り者」の子孫を乗せた宇宙船を待ち受けることになる・・・。
極限状態で選択を強いられた人々のサバイバルSFとしての魅力に加えて、新世界建設のモチベーションにもなった裏切り者への怨念に、人々がいかに向き合っていくのかが読みどころだ。
世代を超えて伝えられた信念の何が残り、どう変質していくのか、著者のSF観・人間観の集大成ともいえる。

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