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ミステリの祭典

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真実の檻

作家 下村敦史
出版日2016年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2018/07/09 20:53登録)
 大学生の石黒洋平は亡くなった母の遺品を整理中、隠されていた手紙から、自分は今の父の子ではないことを知る。本当の父親は、母が結婚前につきあっていた別の男性。それだけでも十分ショッキングだが、なんとその本当の父親は、母の両親、つまり洋平の祖父母を殺害した罪で収監されている死刑囚だった―
 事実を受け入れられない洋平は、実父が無実であることを信じ、冤罪を晴らすべく調査を始める。

 上記のような怒涛の展開で、飽くことなく読み進められることは間違いない。物語の面白さは、我々も含めた世間が根拠なく信奉している日本の裁判制度、というか裁判官の正義。しかし物語を読み進めるに、裁判官もいち人間であり、司法の世界も所詮「人間社会」であるという当たり前のことに気づかされる。そういう点で面白い。

 真犯人は早々に推測できたし、見事その通りだった。それを裏切るもう一枚があってもミステリとしては面白かったのでは、と思う。

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