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ミステリの祭典

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光秀の影武者

作家 矢的竜
出版日2014年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/06/28 10:37登録)
浅井家に仕え、姉川の戦いでは織田信長をあと一歩まで追い詰めた磯野員昌を描いている。
姉川での奮戦が認められ、信長に召し抱えられた員昌だが、家臣を平然と使い捨て、罪のない非戦闘員を殺戮する信長を信頼していなかった。信長に些細なミスをとがめられた員昌は、命の危険を感じ明智光秀のもとへ身を寄せる。理性的で家族を愛し、庶民の痛みを知る光秀を天下人にしたいと考えた員昌は、信長の排除に動き出す。
本能寺の変を題材にした作品は多いが、その中でも本書は、歴史的解釈の斬新さ、員昌と信長が繰り広げる頭脳戦のスリルもあって完成度が高い。何より、信長という巨悪を倒す時も卑劣な手段を使わず、理想を実現するためなら死もいとわない員昌の覚悟は、深い感動を与えてくれるはずだ。

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