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ミステリの祭典

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死の脅迫状
メグレ警視 中編 雑誌「EQ」 1998/11 NO.126掲載

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日不明
平均点3.00点
書評数1人

No.1 3点
(2018/06/26 15:25登録)
 未単行本化メグレシリーズ第3弾。6作品中唯一の中編です。殺害予告を受けて本部長に泣き付いたある富豪宅に、名指しを受けたメグレが嫌々出向く話です。
 といっても正直出来は微妙。泊り込みのメグレを含めた晩餐の席上、殺害の時刻を迎えるまでがクライマックスですが、解決そのものは本部長への報告として事後一気に語られるだけで味も素っ気もありません。
 おまけに一家全員が不潔で嫌な奴揃い。「メグレと口の固い証人たち」の陰気臭いビスケット会社の社主一族をさらに酷くした感じです。唯一買えるのは富豪の家へ出向くまでの風景描写ぐらいですね。
 元々全24巻のシムノン全集に付け足された、40年代の埋もれた中編。パイロット版というか叩き台というかそんな感じです。作者生前は刊行されなかっただけに改稿の予定でもあったのでしょうか。今となっては分かりません。
 他の中短編と比較しても出来は悪く、「マニア以外は読まなくていいよ」といった所でしょうか。

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