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ミステリの祭典

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ランプリイ家の殺人
ロデリック・アレンシリーズ

作家 ナイオ・マーシュ
出版日1996年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2009/05/11 11:37登録)
(ネタバレなしです) 1940年発表のアレンシリーズ第10作の本書はパトリシア・モイーズの「殺人ファンタスティック」(1967年)と共に個性豊かな登場人物が織り成すユーモアが好評の本格派推理小説です。英語苦手な私は後から知ったのですが、「ランプリイ」というのは「やつめうなぎ」を意味するそうで、殺人が起きてアレンの取調べを受けてものらりくらりとした姿勢を保ち続ける一族の名前にはふさわしいですね。ただこののらりくらり描写が結構しつこいので、まじめに犯人探しをしようとする読者はいらいらするかもしれません。殺人方法が結構残虐だったのは意外でした。ネタバレになるので理由は書けないのですが真相に魅力を感じることができず、個人的には期待はずれでした。

No.1 7点 mini
(2008/10/14 10:47登録)
英国ではクリスティに次ぐくらいの人気作家だったのに、日本ではイマイチ人気にならないマーシュ
たしかに現役文庫本で読めるものが皆無という理由もあるが、セイヤーズすらあまり読まれていない日本では仕方ないか
マーシュはセイヤーズ同様にストーリー・テリングで読ませる英国風スタイルだ
ただし違いもあって、セイヤーズは一発芸トリックを上手く物語に融合するが、マーシュはその辺が下手で、トリックが物語の中で浮いてしまっている
逆に言えばセイヤーズからトリックだけを抜き出しても意味が無いと言うか、トリックだけ見たら馬鹿馬鹿しい
その点マーシュはトリックだけを吟味しても一応鑑賞には耐えそうだ
「ランプリイ家」はこうしたマーシュの長所短所が濃厚に表れていて、物語性重視なのが嫌いな人には絶対に好まれないだろう
まさにいかにもな英国風本格が肌に合うかの踏み絵のような作品で、「ランプリイ家」が合わない読者はきっとアメリカン本格向きなのだろう
例えばロースンとかスカーレットとか好んで選ぶような人にはマーシュが合わないのではないかな
言わんとしている意味は分かってもらえると思うが

そう言えばミステリー=パズルでいい論を標榜する他の某サイトでも「ランプリイ家」の評価はメチャ低かったなあ
やはりな、その手の書評者には合わないだろうな

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