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ミステリの祭典

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ペルシャ猫を抱く女

作家 横溝正史
出版日1977年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2018/06/24 11:20登録)
 「刺青された男」に続く、全9編収録の戦後第二短編集。一番出来の良いのはやはり全集収録の短編「泣虫小僧」ですかね。次いで「双子は踊る」、そして表題作と、後に金田一耕助物になった作品が続きます(それぞれ「暗闇の中にひそむ猫」「支那扇の女」に改稿されました)。
 「双子は踊る」は探偵役を務める星野夏彦・冬彦のキャラクターが面白い。「推理ゲームが終わったその後は僕らの知ったこっちゃないよ」とか、潔いほど無責任です。キャバレーで起こった銀行強盗事件に絡む三重殺人の謎を追う話ですが、そんなたいしたもんじゃありません。「泣虫小僧」同様キャラ萌え作品です。「ペルシャ猫・・・」は犯罪未満のちょっと凝った策略の話。
 あとは「消すな蝋燭」かなあ。ネタが安直なんで御大は気に入らなかったそうですが、小道具とか語りはいい雰囲気出してます。「刺青された男」に比べるとだいぶ砕けてきてますが、短編集としては全体にまだちょっと硬いですね。

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