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ミステリの祭典

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虚談
「談」シリーズ

作家 京極夏彦
出版日2018年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2018/06/14 16:51登録)
(ネタバレなし)
「談シリーズ」は今回が初読。
 本書は「嘘」を主題にした一冊だそうで、全9編の短編が、それぞれ「僕」という人物(同一キャラらしいのもいれば、そうでないのもいる)が、ある人物と対話し、その流れの中で本当に実在するかそれとも……? という人外の存在や事象に向かい合う連作になっている。
(もうひとつ、連作の趣向として、全9本のタイトルがどれも、カタカナまたは平がなの3文字で統一されている。)いずれにしろ「嘘」というキーワードの用法は、かなり自在闊達ではある。

 同じ主題で似たような設定のもとに話が続くと、どうしてもカブる部分は出てくるが、それをぎりぎりのところでうまく差別化している手際は、さすが京極先生。話術のうまい語り手から一定の安心感のもとに、古色豊かな(設定は現代の)怪談を聞かされる盤石なゾクゾク感がある。
 ただ印象が弱い話もあるので、評点はちょっと辛めでこのくらいに。

 マスターピースは人によって変るだろうが、個人的なベスト3は、日常の中に入ってくる狂気が、終盤でより深い妖しさの世界に分け入っていく「ベンチ」、幽霊のビジュアルキャラクターがなかなか強烈な「クラス」、話のロケーションと妖かしの異形感の取り混ぜが絶品な「キイロ」あたり。
 なお第6話の「シノビ」は最後のオチで、怖いというより笑ってしまったが、これは綾辻の「館シリーズ」に例えるなら『人形館』的な、書き手も自覚したチェンジアップだろう(たぶん)。
 
 ところで話変って『邪魅の雫』から早12年。そろそろ京極堂シリーズの新作長編は出ないものでしょうか(薔薇十字系ではなく、本家の)。
(いや、実を言うとその『邪魅の雫』は、この十数年のなかで、とにもかくにもどんな作品でも最後まで読むつもりの評者が途中で投げ出した数少ない一冊なんだけど~汗~。)
 それでも新作が出ればたぶん、いや必ず手に取ると思うので。

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