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ミステリの祭典

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西南西に進路をとれ

作家 鮎川哲也
出版日1987年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2018/05/30 00:14登録)
昭和40年代後半から50年代初頭の準落穂拾い短篇集。
最初の倒叙3篇、つかみは堅実、中盤は実に面白い展開なのだがオチ(どうしてバレたんでしょうか?)でズッこけるというこの頃の鮎川倒叙悪癖典型のような作ばかり。でも最後に行くまではどれも妙に面白いんです。

ワインと版画/MF計画/濡れた花びら/猪喰った報い/地階ボイラー室/水難の相あり/西南西に進路をとれ (集英社文庫)

後半順叙篇の方が、物語の面白さはまた別として、ミステリとしての締まり具合はぐっと上。とは言えやはり何処か気を張り通せなかったよな緩みのちらつく作品が目立つ。そんな中でも相対的に際立って見えるのが「水難の相あり」。昭和のスキー場をメイン舞台とした謎多き魅力的な犯罪物語だが、それにしてもラスト近くまで不可解なタイトル(スキー場で水難とな?)の意味が明かされるシーンにはアリバイ偽装暴露の創意が光り、感動します。。 惜しむらくは最後の表題作、「本当はA地点までドライブしたのをB地点までと錯覚させる」のが肝なのですが、こりゃひょっとして鮎川三十年代黄金短篇群に匹敵する大きな心理的アリバイトリックに蹂躙されるブツではなかりしかと、ごくうすぅーく期待もしてみましたが、、まさかそんなチャチい小物理トリックがネタとはな!!(やってる事自体は結構壮大なんですけどね) でもトリックが明かされる工程にゃ妙にスリルがあった。 そうさ、短篇集にリアルタイムで収められなかったブツを後年集めた本だそうだが、どの作も決して詰まらなくは無いのさ。

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