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ミステリの祭典

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<稲妻>連鎖殺人
旧題「メビウスの魔魚」

作家 吉岡道夫
出版日1990年02月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2018/05/29 19:10登録)
(ネタバレなしです) シナリオライターや劇画家として活躍していた吉岡道夫(1933年生まれ)がミステリー作家に転身して1990年発表したデビュー作の本格派推理小説です(当初のタイトルは「メビウスの魔魚」です)。発表時期は綾辻行人を筆頭とする新本格派推理小説全盛時代ですが、講談社文庫版の巻末解説はむしろ1960年代の「新本格派」と共通性があると評価しています。私は国内ミステリーをあまり読んでいないので2つの「新本格派」の違いもよくわからないのですが、本書は読者が犯人やトリックを自力で当てるパズル要素はほとんどない本格派です。錦鯉の愛好家の失踪と錦鯉の生産者の殺人事件、被害者が手塩にかけて育てた不世出の錦鯉「稲妻」と錦鯉を巡っての謎解きですが、多彩な人間関係描写や政治家の捜査への横槍など他にも色々な要素を詰め込んでいます。その割にすっきりして読みやすいのはよいのですが、それぞれの要素がメリハリなく並べられただけという印象が拭えません。通俗描写も好き嫌いが分かれそうです。

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