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ミステリの祭典

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誘蛾燈

作家 横溝正史
出版日1978年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2018/05/28 18:14登録)
「刺青された男」「ペルシャ猫を抱く女」に続く、戦後ノンシリーズ短編集第三弾。
角川文庫版の表紙ほどおどろおどろしい内容では無く、むしろ軽めの作品が多いです。
横溝短編はやはり戦前の耽美調のものが質が高いですが、戦後作品も捨てた物ではありません。
 と言っても「靨」「探偵小説」などといった目玉作品はこの短編集には収録されていませんが。全体的に小品中心で編まれています。
それでも全10編の収録作品中からまず挙げるとすれば鬼気迫る掌編「舌」でしょうか。
阿部鞠也という変名で発表された作品で、一番良いと思うんですが内容的にもまさかこれを表題作にする訳にはいきませんよねえ。
それから連続殺人の真相が二転三転する「妖説血屋敷」これも表題向けではありません。
 あとは表題作「誘蛾燈」。その三編に次点で「噴水のほとり」ですかね。
「噴水のほとり」は、少女趣味が入ってレズってます。横溝先生がこんな作品をお書きになっていらしたのはちょっと意外。
人情物もあってそこそこ愛着が持てる、佳作未満のほどよい短編集と言ったところでしょうか。

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