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ミステリの祭典

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最後の命

作家 中村文則
出版日2007年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 まさむね
(2018/05/22 23:32登録)
 少年時代の、ある事件を共有する幼馴染から、7年ぶりに突然の連絡があった。「お前に会っておきたい」。その後、“私”の自室で馴染みのデリヘル嬢の死体が発見される。当初疑われる“私”。しかし、部屋の指紋から幼馴染が最有力容疑者となり…という流れ。作者として初めて映像化された作品でもあります。
 「ミステリー的要素の色濃い文学」なのか「文学的要素の色濃いミステリー」なのか、その境界線上にあるような作品なのでしょう。でも、自分としては、これは実は精巧に意図された「藪の中」的作品なのではないかと思っています。
 読み返してみますと、なかなか細やかな伏線が配置されています。で、とある人物が辿り着いた一定の推論も示されます。ここで、その裏まで推論(妄想?)したくなる私は、少数派なのか否か。深読みし過ぎなのかなぁ?
 勿論、文学としても読ませる内容ですし、時にはこういう読書もいいよなぁ…と思わせてくれた作品でした。

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