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ミステリの祭典

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人斬り草
妖草師

作家 武内涼
出版日2015年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 小原庄助
(2018/05/12 09:51登録)
舞台は京都で、池大雅、伊藤若冲などの絵師が登場する。主人公は、人の心の闇を苗床として、この世に芽吹く呪い草を刈る妖草師の庭田重奈雄。奇々怪々な植物に立ち向かうヒーローの活躍を描いた、ユニークな時代ホラーなのである。
本書には短編5作が収録されている。重奈雄と若冲の初顔合わせを描いた「若冲という男」や冤罪の怨念が妖草を呼び寄せる「西町奉行」など、どれも読み応えあり。しかも、妖草が「心の闇」のシンボルなら、次々と現れる芸術家たちは、己を高めていこうという、清々しい魂のシンボルとなっている。多くの絵師を登場させる作者の意図はここにあるのだ。

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