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ミステリの祭典

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売国

作家 真山仁
出版日2014年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2018/05/01 22:43登録)
「ハゲタカ」シリーズでお馴染みの作者が贈る、硬派&社会派エンタメ作品。
2013年5月から2014年8月まで「週刊文春」(!)に連載され、後に単行本化された長編。
単行本は2014年刊行。

~気鋭の特捜検事・冨永真一。宇宙開発の最前線に飛び込んだ若き女性研究者・八反田遥。ある汚職事件と、親友の失踪がふたりをつなぐ。そしてあぶり出される、戦後政治の闇と巨悪の存在。正義を貫こうとする者を襲う運命とは? 雄渾な構想と圧倒的熱量で頁をめくる手が止まらない!~

『頁をめくる手が止まらない!』・・・かというと、確かに序盤から終盤に入る頃まではそのとおりだった。
東京地検特捜部に異動した途端、大物政治家の汚職事件を担当することとなった冨永パートと、宇宙開発の最前線で働くチャンスを得たものの、そこに大きな壁の存在を知った遥のパート。
ふたりのパートが順に語られる展開。
当然ながら、このふたつの潮流はどこかでクロスすることになるんだろう・・・と想像しながら読み進めていく。

そして、“売国奴”という存在が浮かび上がる終盤。ついにふたりの運命はクロスする!
これこそがプロットの妙! と言いたいところなんだけど、そこまで鮮やかなものではなかった。
正直にいって、終盤はトーンダウンしたように、それまでの迫力が落ちていった印象は拭えない。
「巨悪」の対象こそ明らかになったものの、「さあ、これからどういうふうに立ち向かっていくのか?」っていうところで、唐突にカットされたように思えた。
(もしかして、ノンフィクション的にどこかから横槍が入ったのか?)

「ハゲタカ」シリーズでは一企業内での権謀術数が語られていたが、本作は日本だけに留まらず、米国をも巻き込んだ権謀術数の世界へ突入。そこには当然ドロドロした争いや必殺仕事人orゴルゴ13のような闇の世界が広がっているのだ・・・
おおー怖!
一小市民でしかない私には想像もつかない世界。
ちょうど、朝鮮半島で歴史的な会談が行われた時節というのが何とも暗示的だ。あれも裏側には数限りないドロドロした人間の欲望が蠢いているんだろうな・・・

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