home

ミステリの祭典

login
やはり雨は嘘をつかない こうもり先輩と雨女

作家 皆藤黒助
出版日2017年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2018/04/26 22:27登録)
元気で子供の頃は男子に混じって遊んでいた女子高生、空木五雨は自分でも嫌になるほどの雨女である。そんな彼女はある日視聴覚室で、謎が多く雨に関することにやたら詳しい雨月先輩に出会う。雨月先輩は五雨自身の名前の謎や、二人の周辺で起こる日常の謎を雨に纏わる蘊蓄を絡めながら解いていく。

全般的に文章が稚拙な印象を受けます。まだまだ作家としての力量に欠ける部分が多いような気がします。ただ、お話としてはとても素敵な短編が並んでおり、一般読者にはそれなりに受け入れられると思います。
また雨に関しての様々な蘊蓄はまあ、なるほどなとはなりますね。しかしミステリとしてはいささか弱く、二話などはある程度先の展開が読めてしまうのがどうにかならんのかって感じがします。しかも一話、二話ともに強引な感は否めません。かなりのご都合主義だと思いますね。

本領を発揮するのは三話ですよ。これは良いです。五雨の幼少時に起きた事件と雨月先輩がリンクしての意外な展開、そして二人の持つ謎が鮮やかに解きほぐされます。
それぞれのキャラはまずまず立っており、その意味でも楽しめる作品だとは思います。小難しい本格ミステリに疲れた時の箸休め的な癒しとしては持って来いではないでしょうか。読後雨が好きになるかどうかは?だと思いますが、より身近に感じるようになるのは間違いないです。

1レコード表示中です 書評