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ミステリの祭典

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インスブルック葬送曲

作家 レーナ・アヴァンツィーニ
出版日2013年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 E-BANKER
(2018/04/15 21:15登録)
作者は1964年、オーストリア・インスブルック生まれ。
というわけで、生まれ故郷の街を舞台にした本作は、デビュー作にしてドイツ推理作家協会賞受賞という快挙。
2011年の発表。

~イサベルが死んだ。彼女は家族から離れ、オーストリアのインスブルックでピアノを学んでいた。心不全だったという。妹の死に不可解なものを感じた姉・ヴェラは、真実を突き止めるべくミュンヘンからインスブルックに居を移し、独自の調査を開始する。時を同じくして、切断された腕だけが発見されるという猟奇殺人が当地で発生した。チロル州警察首席捜査官のハイゼンベルクが捜査に当たるが、事件はやがて連続殺人の様相を呈していく・・・~

インスブルック・・・
オーストリア・チロル州の州都。風光明媚な観光都市であり、またウィンタースポーツの聖地として世界的にも知られており、1964年と76年に冬季オリンピックを開催したことでも知られる。人口は約13万人で国内五番目の規模。
というわけで、まずは舞台の紹介から・・・(最近、こういうのが増えたな・・・)
つまりは、良く言えば歴史と伝統ある、悪く言えば古びて陰鬱な中央ヨーロッパの小都市ということ。
こういう街で、サイコ的な連続殺人事件が発生する。(その割には警察ものんびりしているのだが)

で、ここから本筋。
良く言えば、スピード感や意外性十分のフーダニットを絡めたいかにも現代風のミステリー。悪く言えば、どこかで読んだような(何度も)、既視感ありありのプロット、というところか。
作者自身も作中でアメリカのミステリーチャンネルを揶揄しているのだが、本作こそまさにそれをなぞったかのようなミステリーに仕上がっている。
視点人物が次々に入れ替わり、真犯人の思わせぶりな独白パートが中途で何回も挿入されるなどなど、これでは某J.ディーヴァーの焼き直しと言われても仕方ない。
そしてラストに判明するサプライズ!というべき驚きの真犯人。
ただ、やっぱり練り込み不足かな。三つの脇筋が最後に合流するというプロット自体はいいんだけど、最初からミエミエだしね。
ここまであからさまな疑似餌だと、さすがにアホな読者も引っ掛からないということ。

ちょっと辛口すぎる書評になってしまったけど、きれいにまとまってるし、駄作というわけではないので誤解なきよう。
デビュー作でここまで書ければ上出来かもね。

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