home

ミステリの祭典

login
氷の秒針

作家 大門剛明
出版日2012年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2018/04/05 19:15登録)
2010年4月27日、殺人事件など凶悪犯罪の公訴時効を廃止、延長する法律が成立し、即日施工された。この作品は、この時効廃止にまつわる事件を扱っている。時計修理技能士として働く原村俊介は、15年前の5月に起きた殺人事件で妻を失っていた。いまだ事件は解決していないが、時効寸前の2010年4月に法が成立、この先も犯人を追えることとなった。その一方、近くの松本市で起きた「社長一家惨殺事件」の犯人が、同年2月の時効を過ぎてから自首したものの、後日何者かに殺される。警察は、社長一家でただ一人生き残った長女の薫に疑いの目を向けた。時効廃止の法成立をめぐり、わずか3カ月の違いで明暗をわけることになった二つの事件。それぞれの遺族である俊介と薫の人生が交錯していく。時効をテーマにした単なる犯罪ものに終わっていない。時計とその修理にまつわる幾つものエピソードを効果的に扱っており、家族をめぐるドラマとしても見事に描けている。

1レコード表示中です 書評