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ミステリの祭典

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NOVA+バベル
大森望編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2014年10月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 小原庄助
(2018/04/02 09:34登録)
表題作の作者、長谷敏司をはじめ、宮部みゆき、月村了衛、藤井太洋、宮内悠介、野崎まど、西島伝法、円城塔という豪華メンバーが顔をそろえる。
表題作「バベル」は、宇宙に届く軌道エレベーターが建設された近未来、中東を舞台に、科学技術のいびつな発展と社会的不平等の深刻化という重い主題を、読者の感性に訴えかける物語に結実させている。
収録作はバラエティーに富み、宮部みゆきの「戦闘員」は防犯カメラをモチーフとして、人間とシステムの戦いという、現実と地続きの恐怖を描いているかと思えば、西島伝法「奏で手のヌフレツン」では独特の造語によって異様な世界を描き出し、奇妙なリアリティーを醸し出す。また野崎まど「第五の地平」は恒星間宇宙の征服に挑むチンギスハンの物語という型破りな作品で、無理矢理の設定を合理化する胡散臭い「科学的説明」をでっち上げる力量には目を見張る。名状しがたい面白さでは、円城塔の「Φ」も負けていない。宇宙の終末という科学的にして哲学的な題材を、独自の言語実験的記述で描き、しかもユーモラス。
他の収録作品も力作で、本書を読んだ夜、興奮して眠れなかった。

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