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ミステリの祭典

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脱税者

作家 佐賀潜
出版日1966年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2018/03/27 12:17登録)
昭和三十年代も終盤、戦前から因縁たっぷりの裏金融大物二人が政界巻き込み鎬(しのぎ)を削る物語。金融の専門用語使い熟(こな)しがまるで武器やクルマを語る言葉の如き魅力で飛び交う様は快し。
主人公紹介を兼ねたトリッキーな尾行シーンからスピーディーな序盤展開、中盤はメンタルな格闘シーンと呼びたい頭脳プレーの応酬に恋愛模様の機微が彩を成し、どうにも物語全体の違和感が噴出し始める頃にはもはや手の打ちようが無い断崖絶壁の最終コースへ。。。 ラストシーン、或る決意を内に固めての引きは刺激有りだが、、同じく往年の社会派推理人気作家でも在野に徹する清張とは異なり、体制側出身ならでは(?)の、清張なら迷わず抉るか衝くであろう奥まった部分は無暗に匂わせず無難に幕引く筆さばきをこそ見事と読むか、或いは物足りないとするか。

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