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ミステリの祭典

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晴れた日は図書館へいこう ここから始まる物語
旧題『ちょっとした奇跡 晴れた日は図書館へいこう2』

作家 緑川聖司
出版日2010年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2018/03/23 22:12登録)
小学五年生の茅野しおりの日課は、年の離れたいとこの美弥子が司書をしている雲峰図書館へ通うことである。本が大好きな彼女の周りには不思議な出来事であふれている。しおりと美弥子はそれらの日常の謎に、優しい仲間たちと共に挑む。

本書は2010年12月に小峰書店より刊行された『ちょっとした奇跡 晴れた日は図書館へいこう(2)』を改題し、加筆・修正のうえ、書下ろし短編「九冊は多すぎる」を加え、文庫化したものです。と奥付の前のページに但し書きしてあります。

児童書であろうと「日常の謎」であろうと、内容がしっかりしていればミステリとして十分魅力のある読み物になり得るという、見本のような作品です。ここまで完成度が高ければ、むしろ大人が読むべき小説なのかもしれないとも思います。
作者は「日常の謎」が実は苦手らしいのですが、とてもそうは思えないような短編ばかりです。視点が小学生のせいか、どこか懐かしいような感慨に浸れます。各所にみられる美しい情景描写も臨場感があり、全体的に優しさを湛えた、心揺さぶられる作品集なのではないかと感じます。
おまけの『九冊は多すぎる』は名作『九マイルは遠すぎる』へのオマージュであり、各短編の主要登場人物が一堂に会し、それぞれの推理を戦わせる、ちょっと気の利いた作品です。
取り敢えず、前作も読んでみようかと思わせるのには十分な、楽しい連作短編集でした。

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