帝都探偵奇譚 東京少年D団 明智小五郎ノ帰還 原作 江戸川乱歩 |
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作家 | 本兌有&杉ライカ、ブラッドレー・ボンド&フィリップ・ニンジャ・モーゼズ |
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出版日 | 2017年01月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | |
(2018/03/21 23:46登録) (ネタバレなし) お騒がせ作品『ニンジャスレイヤー』(筆者はアニメ版しか観てないが)の作者チームが執筆した、乱歩の少年探偵団もののリトールド作品。 下敷きは『怪人二十面相』『少年探偵団』の初期長編二作を骨子に、多少のオリジナルシークエンスを入れている。 国家特殊機関の養育を受けた天才美少年の小林芳雄、事件の際にIQが急激に高くなる明智&二十面相(前者は「オレ」「お前」「ガキ」の口調が平常運転の美青年プレイボーイ~一応、文代さんとは結婚してるけど)などの装飾要素はいかがわしいし、世界観も多少のスチームパンク要素を加味してはあるけれど、基本的には原典の作品世界に目配せしながら物語が進行していく。そんな作り。 山中峯太郎版の「名探偵ホームズ」みたいなちょっと書き手の個性が出すぎたリライトを、当初からそういうスタイルで大人(またはヤングアダルト)向けに書いた、という感じであろうか。同時にまあ、昭和十年代のオリジナルの原作が持っていた、当時としてのザワザワ感と前衛的な感覚を21世紀に再生しようとかいう狙いにも沿っているんだろうけど。 ただしミステリとして読む分には、あくまで原作世界・旧作のギミックばっかりなんで、それが物足りないと言えば物足りない。 まあこの辺りは、忠臣蔵を独自の演出で美少女ものにしたり、吉良邸に巨大ロボットで攻め込んでもいいとしても(いいのか?)、主君への忠義という精神から乖離しちゃダメ、というのと同じかもしれん。 その意味で本書は、なんだかんだ言っても、まっとうな作りではある。 |