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ミステリの祭典

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東京二十三区女

作家 長江俊和
出版日2016年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2018/03/14 22:08登録)
雑誌のフリーライターである原田璃々子は、東京二十三区のルポルタージュ企画を作り雑誌社に売り込むため、二十三区の曰く付きの場所を取材する。先輩で某私立大学の民俗学の講師である島野仁とともに。

二人は板橋区、渋谷区、港区、江東区、品川区を巡り、それぞれの区の負の歴史、裏歴史、黒歴史に所縁のある場所を渡り歩いてきますが、それとリンクするように実に奇怪な事件が起こります。暗渠であったり、夢の島であったり、縁切榎など、東京二十三区の知られざる、或いは知る人ぞ知るアンタッチャブルな領域に踏み込み、ホラーやサスペンスとして成立させています。それはそれで怖いですし、過去にそんな出来事があったのかと勉強にもなります。
璃々子の目的は仕事以外にもあり、それは最後まで明かされませんが、その秘密が明らかになった時読者は驚嘆の声を上げるでしょう。その事実がこの作品のシリーズ化の弊害となり得るかもしれませんが、果たして作者はそこを押し切って東京二十三区を制覇することになるのでしょうか、それは誰にも分かりません。

万人にお薦めしようとは思いませんが、長江氏の他の作品に対して少なからず好感を持っている方ならば、一読の価値はあると思います。特に都内にお住まいの方は興味深く読めるのではないでしょうか。

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