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ミステリの祭典

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虎狼
ジャック・キャフェリー警部シリーズ

作家 モー・ヘイダー
出版日2016年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2022/05/08 08:44登録)
原題は邦題以上にシンプルに "Wolf" ですが、ポケミスで約450ページと長い小説です。まあ、この作家にはもっと長大な作品も多いようです。また、あらすじから残酷で読むのがしんどい展開かと危惧していたのですが、実際には文章は読みやすく、予想よりかなり早く読み終えてしまいました。
科学者一家の別荘で起こる拘禁事件と、そこから逃げ出した小犬の持ち主を探すキャフェリー警部の部分とをカットバックしていく手法で書かれています。
巻半ば、拘禁者たちの立場から書かれた部分で、彼等の依頼者について明かしてしまっているのには、構成的に疑問を感じたのですが、クライマックスを迎えてみると、なるほどと納得させられました。犯人たちの企みが、このタイプの作品の定番パターンを覆す結末を生み出していて、うまくまとまっているのです。
ただ、キャフェリー警部の幼少期のトラウマに根差した突飛な行動には閉口しました。

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