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ミステリの祭典

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武者始め

作家 宮本昌孝
出版日2017年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2018/03/04 09:45登録)
北条早雲から真田幸村まで、7人の戦国武将の武者始め(初陣)がつづられている。ただし初陣の形は、実にさまざま。バラエティー豊かな内容が楽しめるのだ。
愚鈍を装い周囲を観察し、ついには父親を領地から追放した、若き日の武田太郎(信玄)を描いた「さかしら太郎」や、徳川家康が薬好きだったという史実を巧みに織り込んだ、「薬研次郎三郎」など、どれも読み応えあり。その中でもベストといえるのが、織田信長を主人公にした「母恋い吉法師」だろう。信長の赤子のころの有名なエピソードを膨らませながら、彼の武者始めに至る過程に潜んでいた、もうひとつの武者始めを活写しているのである。
切れ味の鋭い短編を、存分に堪能できる一冊。

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