home

ミステリの祭典

login
霧ノ宮先輩は謎が解けない
霧ノ宮先輩シリーズ

作家 御守いちる
出版日2017年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2018/02/28 22:33登録)
日本で指折りの財閥の娘である超お嬢様の霧ノ宮才華は、今日も後輩の僕日下部秀一をお供に引き連れ、些細な事件にも首を突っ込んで名探偵ぶったセリフを吐く。「深き闇の中を彷徨いし謎、この私が白日の下に暴いてみせよう」。
しかし、彼女に推理力はない。ところがついに彼女らの前に猟奇的な殺人事件が立ち現れるのである。

ライトノベルにしては読みやすいと思います。その点では安心して読めます。例えば地の文では「けれど」セリフは「けど」と使い分けられており、細かいですがしっかりとした作家の素養を備えているのではないかと。

それにしても正直主役であるべき霧ノ宮先輩の存在意義があまりに希薄で、ストーリー上の重要性から言うと居ても居なくてもさほど変わらない感じなのが痛すぎます。結局謎を解くのは先輩から少年と助手呼ばわりされる日下部で、霧ノ宮先輩はある特殊能力を持っているに過ぎませんから。まあ、そこにいるだけで絵になるのは確かでしょうが、露出頻度の低さや大して活躍しない点から言っても、単なる傀儡扱いと思われても仕方ありませんね。
シリーズ化されていますので、今後重要な役どころを任されるのかもしれませんが、本作では本領が発揮されているとは言い難いです。余談ですが、あとがきにもあるように霧ノ宮ではなく霧ヶ峰のほうがしっくりくる気がしました。

ミステリとしての本作は新味はないものの、ある仕掛けにより読者をミスリードし、真犯人を容易に悟らせない工夫がなされています。伏線はわずかばかり張られていて、推理によって犯人を指摘することも可能な作りになっています。

1レコード表示中です 書評