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ミステリの祭典

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汚れた檻

作家 高田侑
出版日2011年02月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 猫サーカス
(2018/02/22 20:48登録)
現代の病む者たちをリアルに描き、生理的な嫌悪やおぞけの走る恐怖を感じさせることを得意としている作者。この作品で語られるのは、出口なしの地獄へ追い込まれた男の恐怖。主人公の辻原は、単調な作業、嫌がらせする上司、少ない給料の三重苦に不満を抱きつつ、小さな工場で働いていた。ある時幼馴染の牛木に、彼の父が経営する会社の社員にならないかと誘われた。就職にまつわる主人公の苦難は序の口で、最悪な出来事の後にもっとひどいことが起こる。暮らしていた家は次第に血で染まっていく。作者の代表作「うなぎ鬼」に出てきたうなぎの養殖場と似た、なんともいえない不気味さが漂っている。なにより登場人物ひとりひとりの描き方が見事で、ページをめくらずにおれない。ホラーファン必読の一冊。

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