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ミステリの祭典

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それは宇宙人のしわざです
竜胆くんのミステリーファイル

作家 葉山透
出版日2017年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2018/02/01 22:37登録)
老舗のファッション雑誌の廃刊により、オカルト雑誌『アトランティス』編集部に転属になった園田雛子。彼女は転任早々編集長にUFOにさらわれた経験のあるという高校生、二宮竜胆を取材するように指令を受ける。しかし、彼は極度の引きこもりでありながら、超高級マンションに一人で住んでいる宇宙人オタクだった。

安っぽいタイトルから色物と勘違いされそうですが、歴としたミステリです。本格かどうかは疑問ですが。
竜胆くんは日夜宇宙人と交信を取っている超変人で人間には興味がありませんが、いわゆる推理能力は卓越したものを持っています。第一話ではMIB(メン・イン・ブラック)に遭遇した雛子を救い、第二話では雛子の目の前に出現したミステリーサークルとその消失の謎に挑みます。そして第三話では冥王星付近からの未知の存在との交信に成功します。

勿論、それらは宇宙人の仕業ではありません。だからこそミステリとして成り立っているわけですが、その度にがっくりと肩を落とす竜胆くんには同情を禁じえません。
複雑なトリックなど関係なしで単純明快。相当に謎めいた現象をここまであっさりと解き明かしてしまうと、むしろ痛快ですらあります。種明かしをすれば単純なことなんですが、拍子抜けとはなりません。
当然万人受けするとは思いませんが、個人的には結構ツボでしたね。軽くて、しかも意外に専門的知識も併せ持った珍品と感じました。

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